窓辺の花歌

今年に演奏されたものから順にご紹介させていただく予定でしたが、早速このブログに対してご連絡をいただき、以前にお聴きくださった作品についてお問い合わせをいただきましたので、少し前のものになりますが、載せさせていただきます。

 

「窓辺の花歌」for Baritone and Organ

 

この作品は、旧奏楽堂でのオルガンコンサートのために書いた、バリトンとオルガンのための作品で、2006年7月に水戸芸術館プロムナードコンサートでも演奏されました。

最近では詞と音楽を同時に作っていくことが多いのですが、これは詞を先に作りその後、音楽をつけていくという形になりました。この詞がある日、僕の頭に突然、溢れるように出てきたのを今でもよく覚えています。その詞と共に僕の頭に流れた音楽は、出来上がったものとはまるで違うものになってしまったのが、不思議でなりません。

 

最後に、この詞を載せさせていただきます。

 

「窓辺の花歌」

 

詞 伊東 光介

 

花を折った

あまりにもきれいだったから、思わず折った

 

ある日 夢の中で 花の神様に出会った。

しかし、その神様は片手がなかった。

神様はただ笑っていた、何も言わず笑っていた。

 

目が覚めて 僕はただただ泣いた

 

外へ出た 

 

そこに花を折ろうとしている子供がいた

 

僕はその子供に言った 

 

「花を折らないで。」

 

代わりに僕が折った花をあげた 同じ花だった

 

僕は謝った (花を折ってごめんなさい) 

 

子供は僕のあげた花を、優しくなでた 

僕は子供の頭を、震えた手でなでた

 

その夜 夢の中で 僕は花の神様になれた。 

片足のない神様に。 

 

僕は笑った 、精一杯

 

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